医療レセプトのOCR補正で守秘義務契約書にサインした。3ページの英文混じりのPDFを前に、「これにサインして大丈夫か?」と30分悩んだ話を書く。結論から言うと大丈夫だったが、チェックすべきポイントがある。
副業でOCRの業務委託を始めて5ヶ月目、ランサーズに「医療関連書類のOCR補正・月10万円規模の長期案件」が出た。一般的な画像分類(5〜10円/枚1)より単価が高く、医療系のデータは単価が上がる傾向がある。採用試験を通過してNDAが送られてきた。
医療OCR案件の実態
医療系のOCR業務委託には主に3種類ある:
| 種類 | 作業内容 | 単価目安 | 守秘義務 |
|---|---|---|---|
| レセプト補正 | 診療報酬明細書のOCR読み取り確認 | 1件20〜40円 | 必須(強度高) |
| 処方箋データ化 | 手書き処方箋の文字入力確認 | 1件15〜30円 | 必須 |
| 一般医療書類補正 | 紹介状・検査結果の補正 | 1件10〜20円 | 必須 |
一般的な画像分類(5〜10円/枚)より単価が30〜100%高い。守秘義務という制約の対価だ。
NDA(守秘義務契約)で確認した9項目
私が実際に確認したポイントと、見た時の感想:
確認項目1:秘密情報の定義範囲 「作業で知り得た一切の情報」という広い定義だった。患者情報はもちろん、「クライアント名」「案件の存在」も含まれていた。SNSで「医療系の副業してます」も厳密にはNGの可能性があると判断し、投稿を控えた。
確認項目2:契約期間と秘密保持義務の存続期間 業務委託の契約終了後も秘密保持義務が「5年間」続く条項があった。これは標準的な内容だが、知らずにサインすると後々問題になる。
確認項目3:漏洩した場合の損害賠償 「損害の全額を賠償する」という条項。具体的な上限額の記載がなかったため、クライアントに「賠償額の上限は報酬総額の範囲内にできますか」と質問した。3日後に「その条件で構いません」という回答が来た。
確認項目4:データの取り扱い方法 「作業データはダウンロード禁止、クライアント指定のシステム上でのみ作業」という条項。これは守れる内容だった。
確認項目5:本業への影響 勤務先の就業規則で副業は「届け出制で承認を得ること」になっている。医療系の守秘義務案件を副業でやることについて、事前に会社の確認を取った。問題なしという回答だった。
確認項目6〜9(略):競業避止条項、準拠法・管轄裁判所、契約解除条件、返還義務
年間20万円の壁との関係
副業所得が年間20万円を超えると確定申告が必要だ2。医療OCR案件は単価が高い分、早く20万円に到達する可能性がある。
私の計算:
- 月収(手数料前):ランサーズ手数料16.5%3を引いた手取りで月4.8万円程度
- 年間換算:4.8万円 × 10ヶ月 = 48万円
- 経費(PC・通信費の按分、ソフトウェア等):年間8万円程度
所得額 = 48万円 − 8万円 = 40万円 → 確定申告必須、所得税計算が必要
副業所得の確定申告は住民税の普通徴収を選ぶことで会社にバレるリスクを下げられる。医療系の高単価案件を選んだ場合は特に税務処理に注意が必要だ。
Before/After:医療OCR案件前後の月収
Before:一般OCR案件のみ(6ヶ月目)
| 時刻 | 行動 |
|---|---|
| 19:00 | 帰宅後、すぐにクラウドワークスを開く |
| 20:00 | 画像分類作業(1時間で約400枚) |
| 21:00 | 就寝。当日報酬:3,200円 |
月収(手数料前):41,000円 → 手取り約33,000円
After:医療OCR案件参加後(9ヶ月目)
| 時刻 | 行動 |
|---|---|
| 19:00 | 帰宅後、医療OCRシステムにログイン |
| 20:30 | 60件のレセプト補正完了(単価25円/件=1,500円) |
| 21:00 | 就寝。当日報酬:1,500円(時間が短くても単価が高い) |
月収(手数料16.5%前):69,000円 → 手取り約58,000円
3つの失敗パターン
パターン1:NDAを全文確認せずにサインした
最初の案件でNDA確認を怠り、後から「作業画面のスクリーンショット禁止」という条項を見落としていたことが発覚した。確認が後手に回ると契約違反リスクがある。
パターン2:医療系の案件を「普通の補正作業」と思った
入力ミスの許容率が一般案件より厳しかった。「誤字1件で修正依頼」が普通の世界だと知らず、最初の2週間は修正対応に追われた。
パターン3:確定申告を後回しにした
初年度は副業収入が20万円を超えているのに確定申告を忘れかけた。申告期限ギリギリで税理士に相談することになった。今は毎月収入・経費をスプレッドシートで管理している。
この仕事が向かない人
- 秘密保持に厳格なルールを守るのが苦手な人(SNSへの投稿衝動が強い人など)
- 本業の会社が副業を明確に禁止している人(医療系の守秘義務案件は高リスク)
- 確定申告の手続きが面倒で避けたい人(高単価案件は年収20万円超が早く来る)
ミノリで始める場合の違い
業務委託や副業で気になる確定申告について、ミノリは年間の税務ステートメントAPIを提供している。源泉徴収済みの金額が一覧で出るので、確定申告書類の作成時にコピペするだけで済む。
Footnotes
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画像分類1枚5〜10円。出典:nextremer.com アノテーション費用相場 ↩
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副業所得年間20万円超で確定申告が必要(住民税申告は20万円以下でも必要)。出典:freee 副業の確定申告 ↩
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ランサーズ手数料:契約金額の16.5%(税込)。出典:ランサーズ システム手数料 ↩