「業務委託とパート、どっちが手取りで得か」——28歳・都内IT企業勤務の私が実際にシミュレーションして出した結論は「条件次第で逆転する」だった。
年収500万円の会社員が副業でOCRオペレーターをやる場合、業務委託とパートでは税務上の扱いが全く異なる。「年間20万円の壁」「源泉徴収10.21%」「住民税の別申告」——この3つを理解しないと手取り計算を間違える。以下に実額シミュレーションを示す。
業務委託とパートの基本的な違い
まず前提の整理から。
| 項目 | 業務委託(個人) | パート(雇用) |
|---|---|---|
| 契約形態 | 請負/委任契約 | 雇用契約 |
| 指揮命令 | 受けない | 受ける |
| 源泉徴収 | 一部あり(10.21%) | 毎月天引き |
| 社会保険 | 自分で手配 | 会社が折半負担 |
| 確定申告 | 年間所得20万円超で必要 | 給与収入20万円超で必要 |
| 経費計上 | 可能 | 不可(給与所得控除のみ) |
年収別シミュレーション(副業OCR)
年収500万円の会社員が副業OCRで月2万円(年24万円)稼ぐ場合の手取りを比較した。
ケースA: 業務委託で年間24万円の場合
- 年間報酬: 240,000円
- 必要経費(PC減価償却・通信費等): 36,000円(推計)
- 所得 = 240,000 - 36,000 = 204,000円
- 所得税率(本業との合算で20%帯想定): 40,800円
- 住民税(10%): 20,400円
- 税引き後手取り: 約142,800円(年間)
経費36,000円を計上できるのが業務委託の優位点だ。クラウドソーシングの手数料20%1が上乗せされる場合は注意が必要で、クライアントから直接受注する場合はこの手数料がかからない。
ケースB: パートで年間24万円の場合
- 年間給与: 240,000円
- 給与所得控除: 最低55万円(年間給与が低いため全額控除に収まらないケースも)
- 実際は本業との合算給与で判定されるため計算が複雑
- 所得税・住民税: 本業の源泉徴収票に合算して年末調整または確定申告
- 手取りは業務委託よりやや多い場合が多い(経費計上ができない代わり、計算が単純)
年間20万円の壁(2026年現在)
副業所得が年間20万円以下なら所得税の確定申告は不要だ2。ただし:
- 住民税は20万円以下でも別途申告が必要
- 業務委託の「所得」は収入から経費を引いた額(パートは給与収入がそのまま判定基準)
- 2026年の税制改正で20万円ルール自体は変更なし
OCR業務委託で年間20万円以内(所得ベース)に収めるなら、月収1.7〜1.8万円(手数料20%控除後)が目安になる。
Before(副業選択前)とAfter(業務委託で4ヶ月)
Before: 副業をどうするか迷っていた私の状況
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| 月収(本業) | 約320,000円(税引き後) |
| 副業収入 | 0円 |
| 年間税務負担 | 本業のみで完結 |
| 懸念点 | 確定申告が面倒・会社バレが怖い |
After: OCR業務委託を4ヶ月続けた結果
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| 副業月収(税引き前) | 32,400円 |
| 4ヶ月累計 | 129,600円(所得ベース:経費除くと約93,600円) |
| 確定申告要否 | 年間所得が20万円を下回る見込みのため不要 |
| 住民税申告 | 必要(別途市区町村へ) |
3つの失敗パターン
パターン1: 収入と所得を混同する
業務委託の確定申告は「収入ではなく所得で判定」する。年間収入が25万円でも、経費が6万円あれば所得19万円で確定申告不要になる場合がある。
パターン2: 住民税の申告を忘れる
所得税の確定申告が不要でも、住民税は20万円以下でも自治体に申告が必要だ。これを怠ると後から追徴課税が来る。
パターン3: 会社の就業規則を確認しない
副業禁止規定がある会社では、パートより業務委託の方が発覚しにくい(住民税の特別徴収方法を「普通徴収」に変更できるため)。ただし確認せずに始めるのはリスクが高い。
この仕事が向かない人
- 副業で月5万円以上を安定して稼ぎたい人(年間20万円の壁を大幅に超えるため、確定申告と住民税申告が毎年発生する)
- 税務処理を自分でやるのが苦手で、会社の年末調整だけで完結させたい人
- 指揮命令に従って決まった時間・場所で働きたい人(業務委託は原則として作業方法の自由度が高い分、自己管理が必要)
- クラウドソーシング経由で受注する場合、手数料20%が引かれる点を受け入れられない人