「時給換算で1,240円の案件を4ヶ月で1,620円にした」——値上げ率30.6%、差額は月8,000円前後になった。
私は都内IT企業勤務の28歳。平日19〜21時の2時間、週末の3〜4時間をOCR補正案件に充てている。副業での年間所得は20万円以内に抑えて確定申告を回避するつもりだったが、単価が上がるなら話は変わる。この記事では、私が実際に送ったメール文面と、交渉前に準備した生産性データを丸ごと公開する。
交渉前に用意した「数字の根拠」3点
単価交渉で最も効くのは感情でも年数でもなく、発注者が検収にかける工数を減らした実績だ。私が準備したのは以下の3点。
| 指標 | 開始時(月1) | 交渉時(月4) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 1時間あたり補正件数 | 38件 | 61件 | +60.5% |
| 差し戻し率 | 8.3% | 1.6% | -80.7% |
| 月間納品ページ数 | 320ページ | 512ページ | +60.0% |
差し戻し率1.6%というのは、毎月512ページ納品して8ページ程度しか再作業が発生しないという意味だ。発注者にとって「差し戻しゼロに近い作業者」は大きなコスト削減になる。
実際に送ったメール全文(一部改変)
交渉メールは3段構成にした。最初に実績→次に具体的な数字→最後に希望単価の順だ。
件名:OCR補正案件 継続契約の条件について
○○様
いつもお世話になっております。担当しているOCR補正案件について、継続のご相談を申し上げたくご連絡しました。
直近3ヶ月(1月〜3月)の実績を簡単にまとめます。
・月間納品ページ数:平均512ページ(当初契約の160%相当) ・差し戻し率:1.6%(開始当初の8.3%から改善) ・1時間あたり補正件数:61件(開始当初比+60.5%)
作業精度と速度が安定したことで、検収工数の削減に貢献できていると自負しております。つきましては、次回契約から時給換算の単価を現在の1,240円から1,620円(約30.6%増)にご検討いただけますでしょうか。
継続案件としての安定供給と品質維持をお約束します。ご検討のほどよろしくお願いいたします。
このメール1通で発注者から3日後に返信があり、「1,600円で合意」という回答が来た。最終的に1,620円を要求していたのでほぼ満額だ。
交渉タイミングの選び方
タイミングも重要だった。以下の3条件が揃ったときを狙った。
条件1: 3ヶ月以上の継続実績がある
初回受注から1ヶ月で交渉するのは早すぎる。発注者が「この人は信頼できる」と思うには最低3ヶ月の実績期間が必要だ。
条件2: 繁忙期前のタイミング
発注者側が年度替わりや繁忙期を控えているタイミングは、作業者を失いたくない心理が働く。私は3月上旬(4月からの増量前)に送った。
条件3: 次の契約更新直前
月単位で契約する場合、月末から10日前が交渉の窓口だ。それ以前だと「まだ先の話」と後回しにされる。
3つの失敗パターン
パターン1: 数字なしの「頑張ってます」交渉
「一生懸命やっています」だけでは発注者は動かない。実績は必ず数値化する。差し戻し率・件数・速度の3指標が鉄板だ。
パターン2: いきなり2倍要求
月1の単価から一気に2倍を求めると断られるだけでなく、関係が壊れる。30%前後の増額要求が現実的な上限だ。
パターン3: 口頭・チャットでの交渉
メールで送ることが重要だ。記録に残るし、相手が返信を考える時間が生まれる。チャットでの即答を求める交渉は成功しにくい。
この仕事が向かない人
- 実績データを自分で集計・管理するのが面倒な人
- 単価交渉を「図々しい行為」と感じて躊躇する人
- 月20万円以上を副業で稼ぎたい人(年間20万円超で確定申告が発生し、会社にバレるリスクが生まれる)1
- 複数案件を掛け持ちして実績が分散している人(1社に集中した実績の方が説得力が増す)
ミノリで始める場合の違い
業務委託や副業で気になる確定申告について、ミノリは年間の税務ステートメントAPIを提供している。源泉徴収済みの金額が一覧で出るので、確定申告書類の作成時にコピペするだけで済む。単価交渉の前に自分の実績数字を整理したい場合も、ダッシュボードの月別・年別集計が役に立つ。
Footnotes
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副業所得が年間20万円を超えた場合、所得税の確定申告が必要になる。詳細はfreeeのガイドを参照。 ↩