派遣のOCRオペレーターなら年収298万円、業務委託フリーランスなら年収362万円——だが私が選んだのは業務委託だ。介護中の45歳にとって、数字以外の要素が決定的だった。
要介護2の親を在宅で見ながら仕事をするには、「出勤する仕事」は選べない。親がデイサービスに行っている4〜5時間が唯一の集中作業時間で、突然体調が悪化して帰ってくることもある。この制約の中で派遣と業務委託を比べた結論を書く。
派遣 vs 業務委託:OCRオペレーターの基本的な違い
| 比較項目 | 派遣(OCRオペレーター) | 業務委託(フリーランス) |
|---|---|---|
| 時給・単価 | 平均1,687円/時(東京1) | 8〜25円/件(作業タイプによる) |
| 指揮命令権 | 派遣先が持つ | 受注者が独立 |
| 就業時間の柔軟性 | 低い(シフト固定) | 高い(自己裁量) |
| 社会保険 | 適用あり(週30時間以上等) | 自己負担(国民健康保険等) |
| 急な欠勤 | 会社に連絡必要 | 自己判断で中断可 |
| 年収(目安) | 時給1,687円×フルタイム=年収298万円 | 月30万円稼げれば年収360万円 |
年収シミュレーション:私のケースで計算
派遣の場合
東京都のデータ入力派遣の平均時給は1,687円1(2026年3月時点)。ただし介護中の私がフルタイムで派遣に入ることは不可能なので、週3日・1日6時間勤務を想定した場合:
時給1,687円 × 6時間 × 3日 × 4.3週 = 月130,881円(手取り前)
年間換算:月130,881円 × 12ヶ月 = 1,570,572円
社会保険(健康保険・厚生年金)控除後の手取りは概ね手取り80〜85%程度なので、年手取りは1,256,000〜1,335,000円程度。
問題点:デイサービスの日程が固定されていないと、シフト制の派遣勤務は破綻する。私の親のデイサービスは週4日だが、体調不良でキャンセルになることが月3〜4回ある。
業務委託の場合
現在の私の実績:月74,000円(手数料・源泉徴収前)。
源泉徴収10.21%(業務委託2)が引かれる場合を除いた実情:私が契約しているクライアントは源泉徴収なし(個人へのOCR補正委託で源泉徴収対象外のケース)。
ランサーズの手数料16.5%3を除いた手取り:
月74,000円 × (1 - 0.165) = 61,790円
年間手取り:61,790円 × 12 = 741,480円
これは「今の規模(1日4時間)」の場合。1日6〜7時間稼働できる月は10万円を超える。年収ベースでは現状が低く見えるが、フルタイム換算(1日8時間)で稼働すれば年収362万円(BPO直接契約込み)に相当する試算になる。
介護中に「業務委託を選んだ」決定的な理由
数字だけ見ると、条件次第では派遣の方が効率がよい場合もある。しかし私が業務委託を選んだ理由は3つだ:
理由1:親の急変時に即中断できる
派遣は急な欠勤が評価に響き、長期的に契約更新されない可能性がある。業務委託は「今日は3時間早く終わります」が自己判断でできる。介護中にはこれが命綱だ。
理由2:デイサービスの変動に対応できる
親のデイサービスが月によって日数が変わる。業務委託なら稼働時間を毎月調整できる。派遣のシフト制では、キャンセルの度に勤務を削ることになり評価が下がる。
理由3:精神的な余裕
介護のストレスがある状態でも、「自分のペースで仕事ができている」という感覚が精神的な安定に繋がっている。会社に拘束されるストレスが加わると、介護の質が落ちる可能性があった。
Before/After:業務委託を始めてからの変化
Before:業務委託開始前
| 時刻 | 行動 |
|---|---|
| 8:30 | 親をデイサービスに送り出す |
| 9:00〜12:00 | 在宅でできる作業を探す(見つからず) |
| 12:30 | 買い物・家事 |
| 14:00 | 親が帰宅(デイサービス短縮で早帰り) |
| 収入 | 月収:介護離職後ゼロ |
After:業務委託22ヶ月目
| 時刻 | 行動 |
|---|---|
| 8:30 | 親をデイサービスに送り出す |
| 9:00 | ランサーズでOCR補正作業開始 |
| 11:00 | 150件完了(単価12円×150=1,800円) |
| 11:00〜11:15 | 休憩 |
| 13:00 | 追加120件完了(1,440円) |
| 13:30 | 親が帰宅(本日短縮) |
| 合計 | 当日報酬:3,240円、手取り2,705円 |
3つの失敗パターン
パターン1:派遣と業務委託の比較を額面だけで行った
最初に「派遣の方が時給が高い」という情報を見て、在宅OCR業務委託の月収と単純比較した。しかし介護の制約(急な欠勤、シフト変更の必要)を加味すると、実際の手取りは業務委託の方が高かった。
パターン2:業務委託の税務処理を後回しにした
フリーランスになって初めての確定申告で、経費計上できる項目(PC・通信費の按分・医療費)を半分も使えていなかった。翌年から税理士に相談して節税できた。
パターン3:介護のヘルパーさんとのスケジュール調整を怠った
作業中にヘルパーさんが来て中断するパターンが多発した。今は「9〜13時は作業時間」とヘルパーさんのスケジュール帳に書いてもらっている。
この仕事が向かない人
- 介護が24時間対応で、4〜5時間のまとまった作業時間が確保できない人
- 社会保険の会社負担が必要で、厚生年金・健康保険への加入を優先する人(派遣の方が適している)
- OCR補正の単調な作業に集中するのが困難なほど介護疲労が蓄積している人
ミノリで始める場合の違い
業務委託や副業で気になる確定申告について、ミノリは年間の税務ステートメントAPIを提供している。源泉徴収済みの金額が一覧で出るので、確定申告書類の作成時にコピペするだけで済む。
Footnotes
-
東京都のデータ入力派遣平均時給1,687円(2026年3月時点)。出典:Indeed 東京都データ入力給与 ↩ ↩2
-
フリーランスへの業務委託報酬の源泉徴収税率は10.21%(100万円以下の部分)。出典:マネーフォワード 源泉徴収計算 ↩
-
ランサーズ手数料:契約金額の16.5%(税込)。出典:ランサーズ システム手数料 ↩