転勤のたびに職を失う生活から抜け出すために、私は「どこでも続けられる仕事」を選ばなければならなかった。アノテーション業務委託の登録先を研修制度と単価の2軸で選定し、月63,000円に到達するまでの18ヶ月を公開する。
夫の転勤で地方都市に来て2年。正社員で働いていた頃の人脈も、地元の繋がりもない。パートを探しても近所に求人は少なく、あっても「転勤があります」と言った瞬間に顔色が変わる。フルリモートのアノテーション業務委託は、転勤族の私にとって唯一「場所に縛られない仕事」だった。
転勤族が登録先を選ぶ3つの基準
一般的な選び方と転勤族の選び方は異なる。私が重視した3つ:
基準1:研修制度(次の転勤先でもゼロから始めなくていい)
どこに引っ越しても同じプラットフォームのスキルが使えるかどうかが最重要。研修がない登録先では、移住後に「また実績ゼロから」になる。
基準2:継続案件の獲得率(単発で終わらない)
転勤があると「住所変更の手続き」などで数週間作業が止まる可能性がある。長期継続案件なら、一時的に稼働を落としても取引が続く。
基準3:手数料(手取り額の最大化)
転勤族は通勤コストがゼロな分、プラットフォームの手数料が実質的なコストになる。ランサーズ(16.5%税込1)、クラウドワークス(10万円以下22%税込2)、シュフティ(10%)の差は年収レベルで影響する。
選定した5つの登録先とその理由
私が現在使っている・過去に使った5サービスの評価:
| # | サービス | 研修 | 単価目安 | 手数料 | 転勤族向き度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ランサーズ | なし(案件ごとにガイド) | バウンディングボックス10〜15円/件 | 16.5%(税込) | ★★★★☆ |
| 2 | クラウドワークス | なし(タスク説明あり) | 画像分類5〜8円/枚 | 22%(税込、10万以下) | ★★★★☆ |
| 3 | シュフティ | なし(マニュアル配布) | 分類系6〜9円/枚 | 10% | ★★★☆☆ |
| 4 | アノテーション専門BPO A社 | あり(オンライン研修) | 12〜20円/件 | なし(直接契約) | ★★★★★ |
| 5 | アノテーション専門BPO B社 | あり(動画研修) | 10〜18円/件 | なし(直接契約) | ★★★★☆ |
BPO企業との直接契約(4・5)は手数料ゼロで単価も高いが、採用まで時間がかかる。最初の3〜6ヶ月はクラウドソーシング(1・2・3)で実績を積み、その実績を引っ提げてBPOに直接応募するのが最短ルートだ。
アノテーションの単価リアル
画像判定・アノテーションの作業別単価の目安3:
| 作業タイプ | 単価目安 | 処理速度(慣れた場合) | 時給換算 |
|---|---|---|---|
| 画像分類(2択) | 5〜8円/枚 | 500〜700枚/時 | 2,500〜5,600円 |
| バウンディングボックス | 10〜15円/件 | 200〜300件/時 | 2,000〜4,500円 |
| ポリゴン描画 | 20〜50円/件 | 40〜80件/時 | 800〜4,000円 |
ポリゴン描画は単価が高く見えるが、処理速度が大幅に落ちる。初心者はまず画像分類で速度を上げてから移行するのが正しい順序だ。
Before/After:18ヶ月の変化
Before:登録1ヶ月目
| 時刻 | 行動 |
|---|---|
| 10:00 | クラウドワークスで案件検索(方法不明) |
| 11:00 | タスク方式で作業開始 |
| 12:30 | 130枚完了。1,040円 |
| 14:00 | 子どもの送り迎えで中断 |
After:18ヶ月目の平日
| 時刻 | 行動 |
|---|---|
| 9:00 | BPO直接契約案件の作業開始 |
| 10:30 | 300枚完了(単価16円×300=4,800円) |
| 11:00 | 休憩、メール確認 |
| 11:30 | 追加200枚(3,200円) |
| 14:00 | 家事・子どもの迎え |
1日の実収(手数料なし):8,000円 × 月18日稼働 ≒ 144,000円(ただしBPO直接契約で採用されてから。最初の6ヶ月はクラウドソーシング経由で月19,000〜35,000円だった)
3つの失敗パターン
パターン1:最初からBPO直接契約を狙った
実績ゼロの状態でBPO企業に直接メールを送った。当然のように無視または「実績を積んでから」という返信だった。クラウドソーシングで50〜100件の実績が事実上の前提条件だと後から知った。
パターン2:手数料を考慮せず報酬額だけで案件を選んだ
クラウドワークスの「1枚9円」案件が、ランサーズの「1枚8円」案件より実手取りが少なかった(22%の手数料 vs 16.5%)。単価の高さだけで選ぶのは間違いだった。
パターン3:転勤時に登録先の住所変更を怠った
転勤後2週間、住所変更の手続きを後回しにしたら、プラットフォームの本人確認が再審査になり作業停止期間が発生した。住所変更は転勤後48時間以内にやると決めた。
この仕事が向かない人
- 2〜3年で転勤があるたびに「また新しい仕事を探す」ことを前向きに考えられる人(アノテーション業務委託ならこのリセットが不要になる)
- ただし、毎日規則正しくコツコツ作業できない人は長期案件の継続が難しい
- 夫や家族の「在宅で何やってるの?」という目線に耐えられない人(最初の3ヶ月は収入が少ない)
ミノリで始める場合の違い
ミノリは5段階のワーカーレベルを採用していて、最初はタスク0件のレベル1から始めて、品質スコアと完了数に応じてレベル2(10件以上)→レベル3(50件以上)→…と段階的に上がる。レベルが上がると受注できるタスクの単価帯も広がる。
Footnotes
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ランサーズ手数料:契約金額の16.5%(税込)。出典:ランサーズ システム手数料 ↩
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クラウドワークス手数料:10万円以下の部分20%(税込22%)。出典:クラウドワークス システム利用料 ↩
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画像分類1枚5〜10円、バウンディングボックス1件10円程度。出典:nextremer.com アノテーション費用相場 ↩