駆け出しフリーランスが月143,200円稼ぐルートを、実数字で分解する。内訳は月額固定40,000円×3社+スポット月次決算案件23,200円。経理業務委託の在宅案件は時間単価1,232円〜2,000円のレンジが主流で、駆け出しは下限スタート・半年かけて中央値まで上げるのが現実的だった。
前職で中小企業の経理を6年やり、簿記2級を取ってから独立した30歳。業務委託の経理BPOは「受注1社あたりの単価×社数」で収入構造が決まる珍しい仕事で、データ入力のような時間売りとは違う設計思想が必要だった。
月143,200円の内訳 ― 3社契約の構成
| 契約 | 内容 | 月額 | 月実働 |
|---|---|---|---|
| A社(EC小売・10人規模) | 月次仕訳・請求書発行・経費精算 | 40,000円 | 18時間 |
| B社(IT受託・5人規模) | 月次仕訳・売掛管理 | 40,000円 | 16時間 |
| C社(フリーランス美容師) | 記帳・確定申告準備 | 40,000円 | 14時間 |
| スポット | D社の月次決算支援 | 23,200円 | 8時間 |
合計56時間で143,200円、時給換算2,557円。ただしクラウドワークス経由ではなく、前職の伝手で直接契約したため手数料は発生していない。駆け出しがプラットフォーム経由で同じ仕事を取ろうとすると、手数料16.5%〜20%が乗ってくるため実質時給換算は2,050〜2,150円まで落ちる。
経理BPOが業務委託で成立する3つの理由
経理BPOは他のデータ入力系業務委託と比べて単価が高い。その理由は発注者側の構造にある。
第一に、中小零細企業は常勤経理を雇う余裕がない。従業員10人未満の法人では、月額50,000円以下で経理BPOを頼めるほうが、時給1,200円のパートを月40時間雇うより安く済む。
第二に、**電子帳簿保存法の電子取引データ保存義務化(2024年1月〜)**によって、紙原本保存で逃げられなくなった。freee・マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトに精通したフリーランスへの需要が構造的に増えた。
第三に、インボイス制度の経過措置が2026年10月から控除割合80%→70%に縮小する。免税事業者の取引先を抱えた発注者ほど、経理処理の見直しと仕分けの精度が必要になり、専門家への発注が増える。
Before / After の4ヶ月推移
| 月 | 受託社数 | 月総稼働 | 売上 | 手取り | 主な作業 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 1社 | 20時間 | 28,000円 | 10,080円 | A社試験受託・クラウド会計初期設定 |
| 2ヶ月目 | 2社 | 38時間 | 68,000円 | 50,080円 | A社本契約・B社試験受託 |
| 3ヶ月目 | 3社 | 48時間 | 120,000円 | 102,080円 | 3社本契約・月次定例化 |
| 4ヶ月目 | 3社+スポット | 56時間 | 143,200円 | 125,280円 | スポット月次決算支援 |
手取りの差は国民年金17,920円(2026年度)、国民健康保険(前年所得ベースで月5,000〜12,000円)、所得税の予定納付、ツール代(freeeプラン2,178円/月、マネーフォワード3,480円/月)。ここから事業の必要経費として一部戻ってくるので、青色申告65万円控除を使って確定申告すれば実質可処分所得はもう少し上がる。
駆け出しで詰んだ3つの失敗
失敗1: 1社目で「月額いくら」を明示せずに時給契約にした
1社目のA社で「月次経理を手伝って」と雑な依頼を受け、時給1,500円・実働で請求する契約にした。結果、2ヶ月目に35時間まで膨張して月52,500円。発注者も時間増加を嫌い、「固定月額にしよう」と切り替え提案が来た。最初から業務範囲×固定月額で契約しておけば、交渉コストは節約できた。
失敗2: クラウド会計ソフトの権限設計で揉めた
B社の初期設定で、発注者の社長アカウントに管理者権限を持たせず、自分(ワーカー)の権限で設定してしまった。契約終了時の引き継ぎで「ログインできない」と揉め、顧問税理士を挟むトラブルに発展。権限は必ず発注者側の管理者アカウント経由で付与する運用にすべきだった。
失敗3: インボイス登録せずにB社の経理を請けた
駆け出し時点では免税事業者のままで、インボイス発行事業者の登録をしていなかった。B社がインボイス登録済の課税事業者で、2026年9月までは経過措置80%控除が使えたが、2026年10月から70%に縮小。契約更新時に「単価をインボイス相当分下げてほしい」と交渉され、結果的に10%弱の実質減額になった。
この仕事が向かない人
経理BPOは業務委託の中でも特に継続性と信頼が求められる。駆け出しフリーランスで次のいずれかに当てはまる人は無理に手を出さない方がいい。
- 簿記3級未満で、借方貸方の複式簿記が自力で組めない人
- 電子帳簿保存法・インボイス制度の2大制度改正を用語レベルでも説明できない人
- 月次の締切(翌月10日までに月次試算表提出など)を守れるカレンダー管理が苦手な人
- クライアントの機密データ(売上明細、給与、顧客情報)の取り扱い規則を書面で約束できない人
- クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生)のいずれも3ヶ月以上触った経験がない人
経理経験ゼロの人が「スキルを磨きつつ業務委託で稼ぐ」のは現実的ではない。前職経験か簿記2級以上が実質的な参入障壁になる。
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