夫の転勤で地方都市に引っ越して2年目、地元に知人ゼロ、35歳の専業主婦。近所のパート先は少なく、フルリモートで続けられる仕事を探していた。選んだのは英日翻訳。TOEIC820点+大学時代の英文学専攻という武器を活かして、5ヶ月目で月78,200円まで到達した。月8,600ワード処理、1ワード9円ベース、3社の継続契約。
日本翻訳連盟の相場情報によると、英日翻訳の標準単価は1ワード11〜20円(JTF)。クラウドソーシング経由だと7〜11円が全体の50%を占める(ほんやく部)水準。筆者の平均単価9円は、駆け出し翻訳者として妥当なラインだった。
英日翻訳の単価と専門分野
英日翻訳の単価は、専門分野と翻訳者の経験で大きく変動する。
| 分野 | 1ワード単価(手取り) | 駆け出し参入のしやすさ |
|---|---|---|
| 一般文(ビジネス文書・メール) | 6〜9円 | 入りやすい |
| マーケティング・広告 | 10〜15円 | 文章力が要る |
| IT・技術マニュアル | 12〜18円 | 専門用語が必要 |
| 医療・金融 | 25〜35円(WIPジャパン) | 専門知識が必須 |
| 法律・特許 | 30〜50円 | 資格・実務経験が必要 |
TOEIC820点+大学英文学専攻という経歴は「一般文〜マーケティング翻訳の駆け出しレベル」に相当する。最初は一般文の1ワード7円から始めて、徐々に単価を上げていく戦略を取った。
1ヶ月目: 1ワード4円案件で心が折れた
1ヶ月目、「英日翻訳の初心者歓迎案件」に応募して採用された。単価は1ワード4円。500ワードの英語メールを日本語に訳して2,000円。時給換算すると、1時間で300ワード翻訳できるとして1,200円。悪くない水準に見えた。
しかし実際の作業は想定より時間がかかった。専門用語の調べ物、文脈の確認、発注者へのチェック依頼などで、1時間あたりの処理量は150ワード止まり。実質時給は600円台。
さらに、初心者歓迎案件の発注者は「英語→日本語」だけでなく「逆引きチェック」「意訳の微調整」「納期短縮」を要求してきて、精神的にも疲弊した。1ヶ月目の収入は14,200円。単発案件のみ。
2ヶ月目: 翻訳検定の実績作りで単価を倍増
2ヶ月目は、JTFほんやく検定3級を取得した(オンライン受験)。試験料は5,500円だったが、この資格のおかげで応募時の実績欄に書ける肩書きができた。
取れた案件の単価が一気に上がった:
- A社: IT製品のマニュアル翻訳、1ワード8円×月2,400ワード
- B社: 海外通販の商品説明文翻訳、1ワード7円×月1,800ワード
2ヶ月目の収入は31,800円。1ワード単価が2倍近くに上がったのが大きかった。
3ヶ月目以降: 継続契約3社で月78,200円
3ヶ月目以降は、既存案件の継続契約化に注力した。1回ごとに案件を探すより、月契約で固定ワード数を処理するほうが時給効率が格段にいい。
5ヶ月目の内訳:
- A社継続: ITマニュアル、月3,000ワード×8円 = 24,000円
- B社継続: 海外通販商品説明、月2,500ワード×7円 = 17,500円
- C社継続(新規): マーケティング記事翻訳、月2,400ワード×12円 = 28,800円
- 単発案件: 月700ワード×11円平均 = 7,900円
- 合計: 78,200円
1日3.5時間×月20日=70時間で78,200円。時給換算1,117円。手数料(ランサーズ16.5%)控除後の手取りで計算している。
転勤族の妻ならではのメリット
引っ越してきた地方都市で、地元のコミュニティに入り切れず孤立感があった筆者にとって、翻訳の仕事は単なる収入源以上の意味があった。
- 発注者(東京・大阪の企業)とオンラインで業務連絡する機会があり、「都市部とつながっている感覚」を維持できる
- 次の転勤先がどこでも継続できる(フルリモートの前提)
- 英語の文章を読む習慣が保たれ、スキルの劣化を防げる
- 翻訳ジャンルが多様なので、新しい知識が日々入ってくる
地方の孤立感と、将来の再転勤への不安を同時に解消できる仕事として、翻訳は数少ない選択肢だった。
3つの失敗パターン
パターン1: 機械翻訳に頼って検品で不合格
2ヶ月目に「時間がない日」にDeepLで一次翻訳を作り、手直ししただけで納品した。発注者から「機械翻訳特有の不自然な表現が多い」と指摘され、全文やり直しになった。機械翻訳は参考程度、最終文は全文を人の目で書き直すルールを徹底した。
パターン2: 締切直前に体調を崩して納品遅延
継続契約3社の締切が重なった週に風邪を引いて、1社の納品が2日遅れた。継続契約の締切は分散することを発注者に最初から交渉するべきだった(月初、月中、月末に分けた)。
パターン3: 単価交渉のタイミングを逃して低単価で継続
A社との継続契約は1ワード8円のまま半年続いた。実績が十分あるのに、継続3ヶ月目のタイミングで単価交渉をすべきだった。5ヶ月目に初めて交渉して、次月から1ワード9.5円に上げてもらった。
この仕事が向かない人
英日翻訳の在宅ワークを始めるのは、次の条件に当てはまる人には向かない。
- TOEIC700点未満の人(案件の英文を読むだけで辞書と格闘することになる)
- 日本語の文章を書く訓練が十分でない人(英文を理解できても訳文が不自然になる)
- 1日の作業時間が2時間未満しか取れない人(継続契約のペースを守れない)
- 専門分野のリサーチが苦手な人(IT・マーケティング用語の追加学習が必須)
- 単価交渉や継続契約化のコミュニケーションが苦手な人
逆に「TOEIC800点以上」「大学で英語または関連分野を学んだ」「日本語の文章力にも自信がある」「1日3時間以上を安定して取れる」「転勤などで地元の縁がない環境」という転勤族の妻には、全国どこでも続けられる仕事として向いている。
月次推移(開始〜5ヶ月目)
| 月 | 1日作業時間 | 月総時間 | 月ワード数 | 平均1ワード単価 | 月収入(手数料後) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 2.0時間 | 40時間 | 3,550ワード | 4円 | 14,200円 |
| 2ヶ月目 | 2.5時間 | 50時間 | 4,200ワード | 7.5円 | 31,800円 |
| 3ヶ月目 | 3.0時間 | 60時間 | 5,800ワード | 8円 | 46,400円 |
| 4ヶ月目 | 3.2時間 | 64時間 | 7,200ワード | 8.8円 | 63,400円 |
| 5ヶ月目 | 3.5時間 | 70時間 | 8,600ワード | 9円 | 78,200円 |
5ヶ月で月収78,200円。地方都市の主婦パート平均(時給900〜1,000円×月70時間)と比較しても上回る水準。「夫の次の転勤がどこであっても続けられる」という継続性が、この仕事の最大の価値だった。
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