定年退職して最初の月、7,200円を稼いだ。若い人なら鼻で笑う金額かもしれないが、「私でも稼げた」という事実が、次の月への原動力になった。
62歳で定年退職した直後に在宅のデータ入力を始めた。パソコンはメールと検索ができる程度で、クラウドソーシングという言葉も知らなかった。30日で何が起き、何につまずいたのかを正直に書く。
1日目〜7日目:登録と最初の壁
最初の壁はクラウドワークスへの登録だった。プロフィール設定でスキルタグを選ぶ画面で20分以上止まった。「データ入力」「Excel」「テキスト入力」どれを選ぶのかが分からなかった。
結果的に全部チェックして先に進んだが、あとで「未経験でも選択してよかった」と知った。
1週目の記録
| 日 | 作業内容 | 結果 |
|---|---|---|
| 1〜2日目 | 登録・プロフィール設定 | 完了(2日かかった) |
| 3〜4日目 | 案件を探して応募(5件) | 返信なし |
| 5〜6日目 | 提案文を書き直して再応募(3件) | 1件採用 |
| 7日目 | 初案件の作業開始(アンケート集計) | 800円分 |
最初の5件応募で全て無視されたとき、「シニアには無理なのか」と思った。プロフィール文を書き直したのが転機で、「定年退職後、毎日3時間集中できる環境があります」という一文を加えたら採用率が上がった。
8日目〜30日目:30日間の収支全公開
| 週 | 稼働時間 | 収入 | 作業内容 |
|---|---|---|---|
| 1週目 | 8時間 | 800円 | アンケート集計(初案件) |
| 2週目 | 12時間 | 1,600円 | 名刺データ入力(30件) |
| 3週目 | 15時間 | 2,400円 | 企業情報収集・入力 |
| 4週目 | 16時間 | 2,400円 | 継続案件(前週と同クライアント) |
| 合計 | 51時間 | 7,200円 |
実時給換算で約141円。正直、最低賃金を大きく下回っている。ただ、これには「慣れるまでの余分な時間」が含まれている。プロフィール設定やサービスの使い方を理解するのに要した時間が約10時間、そこを除くと実質41時間稼働で時給約175円になる。
2ヶ月目以降は、作業の段取りが固まり、採用された案件の継続発注が入るようになり、実時給が500〜700円台に改善していった。
シニアが特につまずく3つのポイント
ポイント1: 提案文(応募文)の書き方が分からない
若い人でも難しい提案文だが、「自己PRの文章を書く経験がない」シニアにはとりわけ難しい。僕が効果があった書き方は「なぜ時間が確保できるか」を具体的に説明することだった。「毎日9時〜12時の3時間、急な中断なく集中できます」という一文は採用率に明確な効果があった。
ポイント2: 画面が小さくて文字が読みにくい
データ入力の作業中、入力フォームの文字が小さくて目が疲れた。Windowsの設定で表示倍率を125%に変更し、メガネも遠近両用から手元専用のものに変えた。目の疲れが減ると作業時間が延ばせる。
ポイント3: 納期の概念が最初は分からなかった
「3日以内に提出」という案件を受注したが、「3日以内=今日含めて3日か、明日から3日か」が分からなかった。最初のうちは不明点を必ず発注者に確認する習慣をつけた。シニアだからこそ「分からないことは確認する」姿勢が信頼構築にもつながった。
年金との関係:在職老齢年金のルール
62歳はまだ年金受給が始まっていない年齢(老齢厚生年金の受給開始は原則65歳)だが、先々のために確認しておいた。
2026年4月から、在職老齢年金制度の基準額が月65万円(賃金+年金の合計)に引き上げられた。1 2 つまり、月65万円を超えない限り、年金が減額されない。データ入力副業の収入がよほど高額にならない限り、在職老齢年金の減額は気にしなくてよい水準だ。
クラウドソーシングの業務委託報酬は「雑所得」扱いで、厚生年金の対象外。年金受給後も合算制限に引っかかるリスクは低い。
3つの失敗パターン
パターン1: 単純入力の案件ばかりに応募して実時給が上がらない
件単価10〜30円の案件ばかり受注し続けると、どれだけ頑張っても実時給300円以下のままになる。1件単価100〜500円の「まとまった仕事量がある案件」を探す視点が大事だ。
パターン2: 一度に5件以上の案件を受注して納期を逃す
「たくさん受注すれば稼げる」と思い、4件の案件を同時受注した週があった。体調が優れない日が2日重なり、納期を1件逃した。評価が下がり、その後の採用率が一時的に低下した。同時受注は最初のうちは2件以内にする。
パターン3: プロフィールに「60代」と書くことをためらう
「シニアだと採用されないのでは」と思い、年齢をプロフィールに書かなかった。しかし「定年後の空き時間を活用しています」と書いた途端に、採用率が上がった。時間的な安定性をアピールできるシニアならではの強みがある。
この仕事が向かない人
- 毎日パソコンに触れていない人: 1ヶ月で使い方を覚えようとすると初月収入がほぼゼロになる。まず2週間の練習時間を取る
- 1〜2時間で疲れてしまう人: 作業に慣れるまでは集中力が長続きしにくい。目と肩の疲れを無視して続けると、継続できなくなる
- 月に3万円以上をすぐに稼ぎたい人: 最初の3ヶ月は1〜2万円台が現実的な水準。まず稼働習慣を作ることを優先する
ミノリで始める場合の違い
ミノリは5段階のワーカーレベルシステムを採用している。最初はレベル1(タスク0件、本人確認不要)から始められるので、プロフィール設定の段階でハードルが低い。本人確認書類を提出するとレベル2に上がり、受注できる案件の幅が広がる設計だ。メールアドレスだけで無料登録できる。
Footnotes
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厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00022.html) ↩
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政府広報オンライン「在職老齢年金制度の基準額が2026年4月から引上げに」(https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/roureinenkin/) ↩