結論を先に書く。本業持ちの会社員(副業)にとって、仕訳入力の『派遣』は副業として成立しない。派遣は原則として日中8時間の現場拘束を前提にした契約形態で、本業の平日稼働と完全に衝突する。代替策は在宅のクラウド案件か、本業を辞めて紹介予定派遣に切り替えるかの二択。28歳IT営業が実際にここで悩んだ2ヶ月の記録を残す。
副業で月5万円の仕訳入力案件を探していた時、転職サイトで『派遣の経理・仕訳入力・時給1,700〜1,950円』という条件を見つけて飛びついた。だが案件詳細を読むと、月〜金・9時〜18時・オフィス常駐が条件。副業どころか本業を辞めない限り応募できない。派遣が副業会社員に向かない理由を最初から正しく知っておけば、2ヶ月の調査時間を別のことに使えた。
なぜ派遣の仕訳入力は副業として無理なのか
派遣契約(登録型派遣)の基本構造は以下。
- 派遣元(派遣会社)が雇用主 → 雇用契約を結ぶ時点で他の雇用契約との時間重複は基本NG
- 派遣先が指揮命令 → 平日日中のオフィス勤務・時間管理が厳格
- 契約期間中の勤務日数固定 → シフト調整の自由度が低い
本業の会社員は平日9〜18時がすでに埋まっている。派遣の経理案件は同じ時間帯に被るので、物理的に両立できない。夜間・週末だけの『仕訳入力派遣』案件は検索しても2026年4月時点でほぼ存在しない。派遣元のカウンセラーにも『副業で派遣は現実的に選べない』と言われた。
会社員が副業で仕訳入力を狙うなら『派遣以外の3択』
副業の仕訳入力を本当にやりたいなら、派遣ではなく次の3択になる。
| 選択肢 | 時給目安 | 本業との両立 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| クラウド記帳代行 | 800〜1,500円 | ◎ | 実績ゼロだと単価が伸びない |
| 会計事務所の在宅業務委託 | 1,200〜2,000円 | ○ | 簿記2級以上が前提 |
| 紹介予定派遣 → 転職 | 時給1,950円〜 | ×(本業を辞める前提) | 正社員化前に派遣期間で相性確認 |
副業で月5万円を安定して作りたいなら、派遣を外して在宅の業務委託か、クラウド案件に限定するほうが現実的だった。派遣で経理実務を積みたいなら『転職の選択肢』として紹介予定派遣を使う。
紹介予定派遣という『派遣を経由した転職』の中身
紹介予定派遣は、最長6ヶ月の派遣期間のあと、派遣先との合意で正社員化する制度。ジャスネットスタッフが公開している『派遣社員から正社員を目指す3ステップ』では、派遣期間中に実務評価を重ねて社員化する流れが説明されている。
2026年4月時点で東京の紹介予定派遣・経理求人は数十件単位で募集があり、派遣期間の時給は通常の経理派遣と同水準の1,900〜2,100円前後。副業ではなく『転職のお試し期間』として派遣を使うのが本来の使い方だ。
28歳IT営業男性・2ヶ月の試行錯誤
副業で月5万円の仕訳入力をやりたかった理由は、将来の独立準備と年間20万円の雑所得ラインを意識した収入分散。だが派遣は無理と分かってからの2ヶ月、選択肢を組み替えた。
Before: 派遣の仕訳入力を副業にしようとした1週間
| 曜日 | 行動 | 結果 |
|---|---|---|
| 月 | 派遣会社3社に登録 | 全社で『副業不可』回答 |
| 火 | 夜間派遣案件を検索 | 仕訳入力案件はゼロ |
| 水 | カウンセラー面談 | 紹介予定派遣を提案された |
| 木 | 本業に有休申請して面接 | 勤務時間の衝突に気づく |
| 金 | 副業計画を白紙に |
月末までに派遣案件の応募はゼロ。ここで派遣を諦めた。
After: 3択を組み替えた後の1週間
| 曜日 | 行動 | 収入見込 |
|---|---|---|
| 月 | 本業9-21時 | 本業分のみ |
| 火 | 本業、夜2時間クラウド記帳代行 | +3,500円 |
| 水 | 本業、夜2時間で会計事務所の在宅委託 | +5,400円 |
| 木 | 本業、クラウド案件の納品 | +2,800円 |
| 金 | 本業、業務委託の週次チェック | +3,200円 |
クラウド案件+在宅業務委託で週14,900円、月換算で約59,600円。派遣を外した選択肢のほうが本業との両立が成立した。
3つの失敗パターン
パターン1: 『週末限定の派遣』という募集に飛びついた
検索結果に出てきた『週末限定・経理事務派遣』の多くは、実態が紹介予定派遣や有期雇用正社員の求人で、通常の登録型派遣ではなかった。本業のある会社員が安全に使えるのは業務委託契約であって、派遣契約ではない。契約書面で『派遣』と『業務委託』を必ず確認する。
パターン2: 年間20万円の雑所得ラインを無視して確定申告で慌てた
本業の給与以外に年間20万円を超える所得があると、確定申告が必要になる。副業の派遣が成立したと仮定しても、派遣は給与所得として年末調整2箇所問題が発生する。住民税の納付先で会社に副業が発覚するリスクがあるので、給与所得タイプの副業は会社にバレたくない会社員には向かない。業務委託(事業所得or雑所得)のほうが対処しやすい。
パターン3: 抵触日3年ルールを将来の転職計画に組み込まなかった
仮に本業を辞めて派遣の仕訳入力に入った場合、同じ派遣先で働けるのは最長3年。3年後に別の派遣先へ移るか、紹介予定派遣経由で正社員化するかを最初から決めておかないと、3年目に路頭に迷う。無期雇用派遣の選択肢もあるが、時給が有期派遣より低めに設定されることが多い。
この仕事が向かない人
仕訳入力の派遣は、以下に当てはまる本業持ちの会社員(副業)には勧めない。
- 本業を辞めるつもりが1ミリもない(派遣は日中拘束で副業不可)
- 年間20万円以内の雑所得だけで済ませたい(派遣は給与所得で扱いが複雑)
- 簿記3級も持っていない(派遣経理の最低ラインを下回る)
- 転職そのものに興味がない(紹介予定派遣の意味が薄い)
- 本業で深夜残業が常態化している(派遣先の9時始業を死守できない)
逆に「本業をそろそろ辞めて経理で転職したい」「紹介予定派遣で実務経験を積んでから正社員化したい」という28歳前後の会社員には、仕訳入力の紹介予定派遣が入口になる。
ミノリで始める場合の違い
業務委託や副業で気になる確定申告について、ミノリは年間の税務ステートメントを提供している。源泉徴収済みの金額が一覧で出るので、確定申告書類の作成時にコピペするだけで済む。登録はメールアドレスで最短5分、無料。