「派遣データ入力の平均時給1,168円」という数字をネットで見て、おかしいと思った。63円が東京都最低賃金以下じゃないかと。定年後の暇を使って一次ソースを当たった。
62歳、定年退職から半年。在宅でできる仕事を探していたとき、「データ入力の平均時給は1,168円」という記事を複数のサイトで見かけた。なぜ疑ったかというと、2025年10月に東京都の最低賃金が1,226円に改定されているからだ。1,168円は最低賃金を下回る。何かおかしい。リクルートが運営するJBRC(ジョブズリサーチセンター)の一次ソースを調べた。
「1,168円」はどこから来た数字か
求人ボックス「給料ナビ」の集計値だ1。ここで重要なのは、このサイトが集計しているのは「正社員・契約社員・アルバイト・パート・派遣」を含む全雇用形態の加重平均であることだ。時給換算で計算しているため、正社員の年収を時給に直した数字が混在している。
「派遣データ入力の時給」ではなく「データ入力の仕事全般の平均時給(雇用形態混在)」が正確な表現だ。この数字を「派遣の時給相場」として引用している記事が複数あるが、実態とはかけ離れている。
JBRC一次ソースが示す2026年の実際の数字
JBRCは毎月、リクルートグループのサービスに入稿された求人情報から派遣スタッフの募集時平均時給を集計している。2026年1月度のPDFレポート2から派遣データ入力・事務系の実数を確認した結果:
| 調査ソース | 対象 | 2026年1月度の数字 |
|---|---|---|
| JBRC(三大都市圏・全職種) | 派遣募集時平均時給 | 1,714円 |
| JBRC(首都圏・オフィスワーク) | 事務系派遣 | 1,696円(前年比+38円) |
| エン派遣(2026年1月度) | オフィスワーク・事務系 | 1,696円(過去最高タイ)3 |
| 求人ボックス「給料ナビ」 | 全雇用形態・全職種平均 | 1,168円 |
1,168円と1,696円の差は528円。対象の定義が全く違うため、「派遣の相場は1,168円」は誤りだ。
派遣データ入力の実際の時給分布(2026年4月時点)
求人票ベースの実感値を含めると、以下の分布になる。
| 時給帯 | 主な条件 | シニアの参入可否 |
|---|---|---|
| 1,300〜1,400円 | 未経験OK・基本操作のみ | ◎ 参入しやすい |
| 1,400〜1,600円 | ブラインドタッチ・Excel基本 | ○ スキル次第 |
| 1,600〜1,800円 | Excel中級・業界知識あり | △ スキル要件が高い |
| 1,800円超 | 専門スキル・経験者 | ✕ 難しい |
JBRC調査の「派遣オフィスワーク平均1,696円」は全年齢・全スキルレベルの平均値だ。シニアが最初に参入する時給帯は1,300〜1,450円が現実的なスタートラインになる。
シニア62歳が6ヶ月で確認した実態
実際に派遣登録して6ヶ月働いた経験値では、以下が実感に近い。
Before: 登録前の想定
- 「平均1,168円なら目も疲れる作業で低すぎる」
- 「62歳では採用されないだろう」
After: 6ヶ月稼働後の実感
| 期間 | 時給 | 月間稼働 | 月収 | 稼働形態 |
|---|---|---|---|---|
| 1〜2ヶ月目 | 1,350円 | 40時間 | 54,000円 | 在宅・週10時間 |
| 3〜4ヶ月目 | 1,350円 | 40時間 | 54,000円 | 在宅・週10時間 |
| 5〜6ヶ月目 | 1,420円 | 42時間 | 59,640円 | 在宅・週10時間 |
月3〜6万円の目標に対して、月54,000〜59,640円は達成できた。「62歳では採用されない」という想定は誤りで、在宅案件では年齢より「タイピング速度と正確性」を重視する傾向があった。
年齢で時給が下がる「2つのパターン」
シニアが実際に時給を下げられる可能性があるパターンを整理しておく。
パターン1: スキルテストの結果が低い
派遣登録時のタイピングテストで和文80字/分以下、テンキー150打/分以下の場合は、時給が1,300円以下の案件しか紹介されないケースがある。定年前から少しずつ練習しておくと良い。
パターン2: 短期案件のみ紹介される
高齢ワーカーに「長期案件」の更新を行いにくい派遣会社が存在する(法律上は年齢差別は禁止だが実態としてある)。短期→短期の繰り返しでは稼働の空白期間が生じる。長期案件を明示的に希望することが重要だ。
この仕事が向かない人(シニア視点)
- 画面を長時間見ると眼の疲労が激しく1日2〜3時間が限界の人
- タイピング速度が現時点で和文60字/分以下で、練習を続ける意欲がない
- 在宅作業環境(専用PC・安定したネット回線)を整備できない
62歳で「データ入力派遣は時給1,168円」という思い込みで諦めるのは、数字の出所を確認していない判断だ。JBRC一次ソースでは派遣事務系は1,600円台が現実だ。
ミノリで始める場合の違い
ミノリは5段階のワーカーレベルを採用していて、最初はタスク0件のレベル1から始めて、品質スコアと完了数に応じてレベル2(10件以上)→ レベル3(50件以上)→ ... と段階的に上がる。レベルが上がると受注できるタスクの単価帯も広がる。シニアが「自分のペースで実績を積む」という点で、レベル制のシステムは分かりやすい指標になる。