「体調の波がある自分に、文字起こしの業務委託なんて続けられるのか?」これが慢性疾患で会社員を辞めた29歳、持病や障害で外出困難な状況に置かれた自分が最初に抱えた問いだった。答えは「月の半分しか動けなくても月28,400円は作れる。ただし納期の組み方を全部やり直した場合に限る」というものだ。1分150円のケバ取り案件を月3時間半分、体調が良い日だけ処理した5ヶ月の記録を書く。
月28,400円は時給換算で1,400円相当だが、「体調が悪い日は休める」という条件を金額換算すれば、雇用契約のフルタイム月20万円より自分には合っていた。納期交渉でフリーランス新法の条文を引いた経緯と、3回の致命的失敗から学んだ「納期7日前80%完了ルール」までをそのまま残す。
文字起こしの単価と作業ペース
日本語の文字起こしの個人受注単価は、仕上げ方で大きく変わる。
| 仕上げレベル | 1分単価 | 60分音源の報酬 | 実作業時間(駆け出し) |
|---|---|---|---|
| 素起こし(全て文字化) | 60〜100円 | 3,600〜6,000円 | 6〜8時間 |
| ケバ取り(「えーと」等削除) | 150〜200円 | 9,000〜12,000円 | 6〜8時間 |
| 整文(読みやすく整える) | 200〜300円 | 12,000〜18,000円 | 8〜12時間 |
専門用語(医療・法律・技術)を含む案件は1.5〜2倍の単価になる。駆け出しは最初にケバ取り案件から入るのが現実的で、素起こしは単価が低すぎる。
月28,400円の内訳と5ヶ月の推移
| 月 | 処理音源時間 | 稼働日数 | 売上 | 手取り | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 48分 | 8日 | 4,800円 | 3,840円 | 体調不良で途中放棄 |
| 2ヶ月目 | 110分 | 12日 | 12,100円 | 9,680円 | 慣れてペースが上がる |
| 3ヶ月目 | 145分 | 14日 | 18,250円 | 14,600円 | 2社目開拓 |
| 4ヶ月目 | 168分 | 13日 | 23,500円 | 18,800円 | 通院で3日休み |
| 5ヶ月目 | 195分 | 15日 | 28,400円 | 22,720円 | 月の半分稼働が限界 |
クラウドワークス手数料20%と、駆け出しなのでまだ国民年金の免除申請中(所得が低く審査中)。国民年金は通常月17,920円(2026年度)だが、所得基準により全額免除・一部免除の対象になる可能性がある。障害年金受給中の場合は法定免除の対象となることもある。
体調の波に合わせた仕事の受け方
持病がある人の業務委託で最も重要なのは「納期の組み方」。無理な納期を受けて体調を崩すと、次の月はゼロになる。
- 月15日程度の作業可能日を想定し、実際は10〜12日と見積もる
- 納期は「最短」ではなく「最長」を選ぶ(2週間案件なら1週間納期の案件は受けない)
- 通院日は事前に発注者に共有し、その日は連絡ができないことを伝える
- 体調不良時の納期延長可否を契約前に聞く
フリーランス新法の就業環境整備の条文に「育児介護等と業務の両立に対する配慮」が含まれているが、持病や障害についても発注者側の配慮義務は類似の方向で解釈されつつある。実務上、体調不良時の納期調整を申し出る際に新法を引き合いに出すと、発注者側も対応しやすくなる。
3つの失敗パターン
失敗1: 納期2日前に体調を崩して納品できなかった
4ヶ月目、60分音源の案件を納期2日前に放置せざるを得なかった。発注者から「納品見込みは?」と催促があり、体調不良を伝えたところ「次回から厳しい」と評価を下げられた。以降、納期の7日前までに80%完了を目安にし、残り3日を体調不良バッファとして空けるルールに変更。
失敗2: 専門用語が多い医療系案件を受けた
高単価に釣られて医療カンファレンスの文字起こし(1分220円)を受けたが、専門用語で調べ物が続き、実作業時間が想定の2.5倍。時給換算で530円まで落ちた。以降、サンプル音源3分を事前に聞いて専門用語の量を確認してから契約するルールに変更。
失敗3: 納期調整を遠慮して無理をした
体調が悪いのに納期調整を切り出せず、夜中まで作業して翌日3日寝込んだ。結果、次の案件も受けられず月収が激減。以降、体調不良の段階で即座に発注者に連絡する運用に切り替えた。ほぼ全ての発注者は前もって言ってくれれば対応してくれると判明した。
この仕事が持病持ちに向かないケース
持病や障害で外出困難な人でも、次に当てはまる場合は文字起こしの業務委託は無理に続けない方がいい。
- 音声を長時間聞き続けることが難しい聴覚過敏傾向がある人
- 1日30分以上の連続キーボード入力で手や肩が悲鳴を上げる人
- 納期を守れない月が2ヶ月連続であり、それを発注者に伝えられない人
- 体調不良時に作業環境(PC、イヤホン、静かな部屋)を確保できない住環境の人
- 音源の内容が精神的負荷になる可能性がある(重病患者インタビュー等)にフタができない人
持病持ちの業務委託は「自分の体調と納期のバランスを正直に発注者に伝えられるか」が続くかどうかを分ける。隠して無理をすると2〜3ヶ月で詰む。
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